相続対策と不動産の関係は?自宅を有効活用する3つの方法を紹介
「相続対策に不動産が有効と聞いたことがあるけど、どんな関係があるかわからない」というお悩みがある人もいるのではないでしょうか。
中でも身近な不動産として自宅を持つ人も多いでしょう。
この記事では、相続対策と不動産の関係、不動産を相続対策に有効活用する3つの方法について解説していきます。
前もって準備しておかないと相続人への大きな負担になりかねません。今のうちに効果的な対策を知っておきましょう。
目次
不動産が相続対策に有効な理由
不動産を活用することは相続対策に有効です。
その理由は、不動産の相続税評価額が現金よりも低くなるからです。
不動産の相続税評価額とは?
相続税評価額とは、相続税を計算するときの基準となる財産の価格のことです。
原則として、相続が開始される日の財産の時価で評価されます。
・土地の評価
・家屋の評価
・株式の評価
・生命保険の評価
・定期預金の評価
のように、財産の種類ごとに評価方法が定められています。
中でも土地と家屋の評価額は、不動産との関係性が高いです。
不動産の評価額が現金より低くなる理由
現金や預貯金などの相続税評価額は時価と同等です。
しかし不動産の評価額は、土地も家屋も取引価格よりも低い額で評価されます。
これは不動産の流動性が低く、売却に時間や手間がかかることを考慮しているからです。
また不動産の評価額は、市場の需要や供給の変化に応じて変動することもあります。
自宅(不動産)を活用した3つの相続対策
以下では、最も身近な不動産である自宅を活用した相続対策を3つご紹介します。
1.親子で同居する
親子で同居している場合、小規模宅地等の特例で相続税評価額を低くできます。
小規模宅地等の特例とは、亡くなった人が所有していた土地を相続するときに受けられる特例のことです。
一定の条件を満たせば、通常の相続税評価額を低くできます。一定の条件としての例は、以下があげられます。
・亡くなった人の配偶者が取得した場合
・亡くなった人の同居親族が取得した場合
・取得した人が申告期限までに引き継いだ場合 など
この特例の区分としては、居住用の「特定居住用宅地等」と事業用の「特定事業用宅地等」「貸付事業用宅地等」の3つがあります。
今回の場合は自宅なので、居住用の「特定居住用宅地等」が適用されます。
小規模宅地等の特例の具体例
具体的な例をあげると次のようになります。
亡くなった人の所有していた土地が6,000万円、面積500㎡とします。
親族が相続する場合、土地のうち330㎡(限度面積)までの部分について評価額を80%(減額割合)下げることが可能です。
計算すると以下のとおりです。
6,000万円 × 330㎡ ÷ 500㎡ ×80% = 3,168万円
6,000万円 – 3,168万円= 2,832万円
結果、相続税評価額は6,000万円から2,832万円まで減額されます。
この場合、建物は小規模宅地等の特例が適用されません。
2.自宅を賃貸にする
自宅を賃貸にすることも相続対策に有効です。
土地と建物の相続税評価額が低くなる
自宅を賃貸にすることで「自用地」から「貸家建付地」となり、相続税評価額を低くすることが可能です。
「自用地」・・・土地の所有者が自分のために使用している土地のこと
「貸家建付地」・・・自分の所有する土地に建物を建てて賃貸をしている宅地のこと
「貸家建付地」は「自用地」の相続税評価額に、借地権割合や借家権割合などの減額率が適用されます。
そのため時価で評価される「自用地」の相続税評価額よりも低くなります。
これは「貸家建付地」が「自用地」よりも売却しにくいという市場の実態が反映されているからです。
・空室のリスク
・建築や改装の費用
・事業としての運用
のように考えるべきことが増えるので、賃貸にするときは注意が必要です。
小規模宅地等の特例が使える
また、自宅を賃貸にすることで、小規模宅地等の特例が使えます。
事業用の「貸付事業用宅地等」に区分されるので、賃貸の土地の200㎡(限度面積)までを本来の評価額の50%(減額割合)に下げることが可能です。
具体例は以下のとおりです。賃貸の土地が6,000万円で面積500㎡、建物が8,000万円とします。
土地の相続税評価額
6,000万円 × 200㎡ ÷ 500㎡ ×50% = 1,200万円
6,000万円 – 1,200万円= 4,800万円
土地の相続税評価額は6,000万円から4,800万円まで減額されます。次に建物の相続税評価額を求めます。
建物の相続税評価額は、自宅の相続税評価額から借家権割合(30%)と賃貸割合を減額したものです。
たとえば、建物の評価額が8,000万円で、賃貸割合が80%であれば以下のようになります。
建物の相続税評価額
8,000万円×(1 – 0.8 × 0.3)=5,440万円
土地と建物の相続税評価額の合計は4,800万円+5,440万円=10,240万円です。本来の14,000万円から3,760万円低くなります。
3.配偶者に自宅を贈与する
配偶者に自宅を贈与することは、相続税対策の1つとして有効です。以下のような効果が期待できます。
配偶者控除が受けられる
配偶者に自宅の購入資金を贈与すると特例が受けられます。通常、贈与税には基礎控除(110万円)が設けられています。
しかし特例によって、追加で2,000万円までは贈与税がかかりません。
また贈与された自宅は、相続開始から3年以内の贈与の加算対象にはなりません。したがって、相続税も課税されずに済みます。
相続人同士のトラブルを避けられる
20年以上連れ添った夫婦間で自宅を贈与した場合、遺産分割の対象から外すことが可能です。
これにより、配偶者以外の相続人に自宅を分ける必要がありません。前もって相続人同士のトラブルを避けられます。
しかし、配偶者が先に亡くなったり離婚したりすると自分が贈与した自宅が返ってこない可能性もあります。
ご自身の財産状況や相続人の関係、税金の負担などを総合的に考慮する必要があるでしょう。
専門家への相談は「ラスティングクロス」
この記事では、相続対策と不動産の関係、不動産を相続対策に有効活用する3つの方法について解説してきました。
不動産をうまく活用することで、相続税を控除できたり相続人同士のトラブルを避けたりなどの相続対策が可能です。
しかし不動産の相続対策は単純なものではなく、人それぞれの事情や目的に応じて最適な方法を選択する必要があります。
そのため誤った選択をしないためにも、専門家のアドバイスを受けることがおすすめです。
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