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自営業の老後資金はいくら必要?受給年金が少ないのがデメリット

老後資金「2000万円問題」が世間を賑わせてから、老後資金に不安を抱えている人は多いでしょう。

特に、自営業で仕事をしている人は、老後資金が2000万円でも足りるのか、心配に思っているのではないでしょうか。

本記事では、「自営業者」に注目し、必要な老後資金の額について解説していきます。

結論としては、老後資金の必要額は「3000万円」が基準となります。ただし、自営業は次の特徴があるので、個別のシミュレーションが必要です。

 

●自営業のメリット :定年がなく、長く働ける

●自営業のデメリット:受給年金が少なくなりやすい

 

具体的な数字を用いて説明しますので、是非ご参考にしてください。

3000万円が基本。働き方次第では300万円程度でも

自営業の老後資金必要額は「3000万円」が基本です。

老後資金問題で注目された「2000万円」より必要額が多くなるのは、年金受給額が低くなる傾向にあるからです。

統計調査を参考にした具体的な内訳は以下のとおりです。

消費支出(二人以上の65歳以上無職世帯)は、

・1世帯あたり、月額230,514円

国民年金受給額(夫婦二人)は40年間保険料を納めて、

・1世帯あたり、月額130,150円

不足額は、月額約10万円で、年額約120万円になります。

【参考:家計調査年報(家計収支編)2020年(令和2年)

65歳から男性の平均余命は約20年、女性の平均余命は約25年です。

65歳からの老後20年間で、

年間必要額120万円×20年=2400万円

が必要となります。

さらに、女性に関しては5年間足して、不足額は年額約60万円。5年間で300万円ほどです。

葬式や介護費用を考えると、夫婦二人で3000万円を老後資金として見込んでおいたほうがいいでしょう。

2400万円(夫婦の老後資金20年分)+300万円(女性の老後資金5年分)+300万円(葬式・介護費用等)=3000万円

基準額として「3000万円」としましたが、具体的には、自営業の働き方によって異なります。

働き方次第では、老後資金が300万円で足りるというケースもあります。

老後資金を考える上での自営業のメリット

老後資金を考える上で、働き方を調整できるのが、自営業のメリットです。
自営業は、自分の判断で働く期間を決めることができます。

定年がなく、何歳まででも働ける

自営業は、会社勤めのサラリーマンと違い、定年がありません。

70歳や80歳まで働いて、「老後」の期間を短くすることができます。

老後の期間が短くなれば、必要な老後資金が少なくなります。

例えば、通常65歳で受給する国民年金を75歳まで繰り下げると、最大84%増額した金額を受給することができます。

夫婦で繰り下げた場合、国民年金受給額が130,150円から239,476円に増額となります。

この場合、毎月の収支は黒字となり、収支だけを考えれば老後資金は不要となります。

ただし葬儀費用や介護費用を考えると、最低でも300万円は貯蓄があったほうがいいでしょう。

年金受給を繰り下げることで、必要な老後資金額を減らすことができます。

勤務時間を調整しながら、長く働ける

自営業は、働きながら勤務時間の調整も可能です。

フルタイムで75歳まで働くことは難しくても、週に3日間勤務などに調整し、収入を得続けることも可能です。

収入があれば、年金受給額の繰り下げを検討することも可能なので、「老後資金を3000万円貯める」以外の選択肢が広がります。

65歳以降を「老後」と考えなくてもよいのは、自営業ならではのメリットです。

老後資金を考える上での自営業のデメリット

老後資金を考える上で、受給年金額が少ないことが最大のデメリットです。
自営業は国民年金だけの受給となり、40年間国民年金を収めても、夫婦合わせて受給できる年金受給額は、月額13万円程度です。

受給年金が少ない傾向がある

自営業者はサラリーマンに比べて、受給年金額が少なくなる傾向があります。

サラリーマンは厚生年金保険に加入するため、厚生年金を受給できます。
「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概要」によると、
・令和2年度の厚生年金の平均受給額は146,145円です。

自営業者が受け取れる
・国民年金の受給額は、2人で月額130,150円

ですので、厚生年金受給がないことが大きく影響しています。

【参考:令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概要

安心して老後を迎えるには、国民年金以外の個人年金保険や確定拠出年金に加入するのがオススメです。

国民年金だけで不安な、老後の収入を増やすことができます。

収入の保証がない

自営業は、定年がありませんが、収入の保証もありません。

身体の不調で働き続けられなくなることや、売上が大きく下がることも考えられます。

投資商品を購入したり、事業を拡大して収入源を増やしたりするなど、売上減少に備える必要があります。

長く働くことを想定して、「少ない老後資金で大丈夫」と考えて、貯金をしないのはリスクが大きいです。

まとめ:収支シミュレーションで老後資金額を明確に

自営業の方の老後資金の必要額について解説してきました。

年金受給額がサラリーマンに比べて少ない傾向があるため、一般的な老後資金よりも多い「3000万円」が必要な額になります。

一方で、65歳以降も働き、老後期間が短くなる場合には、老後資金が数百万円で済む場合もあります。

「自営業者」を一括で判断することは難しいため、個別のシミュレーションが必要になります。

シミュレーションを行う際は、以下の点を決めて、収支額を明確にしましょう。

「いつまで働くか」

「給与額は維持できるか」

「年金受給の繰り下げを行うか」

収支が明確になれば、自営業でも安心して働き続けることができます。