老後資金はいくら貯めてる?60代の平均貯蓄額を紹介
「老後には2000万円が必要」などと言われる中、老後資金は多くの人にとっての悩みの種です。
生活が「老後」へ突入するのは定年退職を迎える60代となりますが、実際のところ60代はどれほど貯蓄をしているものなのでしょうか。
この記事では、60代の夫婦世帯・独身世帯の貯蓄額について紹介していきます。
老後の資金準備の参考にしてみてくださいね。
老後資金の平均貯蓄額
60代の貯蓄に関するデータは、金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(令和3年)」で確認できます。
この調査で公表されているデータを世帯ごとに分けて見ていきましょう。
60代夫婦の平均貯蓄額
世帯主が60代である2人以上世帯の場合、平均貯蓄額(金融資産保有額)は2,427万円、中央値は810万円です。
平均額が2,427万円と聞くと、どこの家庭もまとまった額の貯蓄があるように感じられますが、中央値の方が肌感覚としてはより近いかもしれませんね。
保有している金融資産額の全体における割合としては、二人以上世帯での最多は保有額3000万円以上の世帯で22.8%、続いて非保有の世帯で19%です。
これらを踏まえると貯蓄のある世帯、ない世帯の二極化が進んでいるといえそうです。
平均貯蓄額は貯蓄の多い世帯が数値を押し上げていると推測できるので、今後の貯蓄を考える上ではまずは810万円をひとつの目安としてもよいでしょう。
60代独身の平均貯蓄額
60代単身世帯の平均貯蓄額(金融資産保有額)は1,860万円、中央値は460万円です。
こちらも二人以上世帯同様、平均と中央値に大きく差があります。
保有している金融資産額の全体における割合としては、最多は非保有の世帯で28.8%、続いて保有額3,000万円以上の世帯で17.7%です。
二極化していることに加えて、貯金のない世帯が突出して多い結果となっているのは、二人以上世帯と異なる部分です。
二人以上世帯は子供のいる世帯も含みますので、単身世帯と比較すると家族の生活を見据えた資産準備ができているのかもしれません。
老後にもらえるお金
貯蓄以外の老後生活を送るための主な資金について、あらためてまとめておきましょう。
年金
老後の主な収入源となる年金は原則として65歳から受給できます。
60〜65歳までの間に繰上げて減額された年金を受け取る「繰上げ受給」や、66〜75歳までの間に繰下げて増額された年金を受け取る「繰下げ受給」を選択できます。
日本に住む人なら基本的には国民年金を受け取ることができ、会社員や公務員で厚生年金に加入している人は加えて厚生年金も受け取れます。
自分のもらえる金額の詳細については、日本年金機構の「ねんきんネット」を確認してみてください。
退職金
年金の他に、多くの人が老後資金とするのが退職金です。
従来は定年を60歳とするのが一般的でしたが、2025年4月からは65歳定年制が義務となります。
定年までしっかり働いて、退職後は退職金で生活していくのは会社員の方では一般的なライフスタイルですね。
東京都産業労働局の調査によると、定年退職の退職金の相場は1000万円前後ですが、勤め先の規模や業種、勤続年数によって異なります。
一般的には勤続年数が長いほど、多くの退職金をもらうことができます。
老後の平均収支
実際に老後の生活はどれくらいの費用がかかるのか気になりますよね。
総務省の家計調査報告(令和3年)のデータを世帯ごとに分けて見ていきましょう。
60代夫婦の平均収支
65歳以上の夫婦のみ無職世帯の月額平均生活費は、255,100円となっています。
もらえる年金の金額は前述の通り就業形態によって異なりますが、夫婦ともに会社員の場合の相場は月額20万円程度といわれていますので、約5.5万円が赤字となりますね。
以前話題となった「老後2000万円問題」は、月5.5万円の不足が20〜30年続いた場合、不足金額が2000万円近くであることが元となっています。
60代独身の平均収支
65歳以上単身世帯の月額平均生活費は144,747円です。
会社員の場合にもらえる年金の金額は、月額10〜16万円が相場となりますので、夫婦世帯よりは赤字が少なくなるといえそうです。
単身世帯の場合は、基本的には何かあったときにはお金を含めた生活面を自力で対処する必要があるので、前もっての準備が欠かせません。
まとめ
今回は老後資金のデータについて退職金や生活費の平均額を紹介しました。
必要な金額について、目安や目標を定める参考になったのではないでしょうか。
実際に老後を迎えてからお金の心配をしても、「時すでに遅し」ということもあるかもしれません。
老後資金について不安がある場合は、仕事をして収入があるうちに早めに資産形成を始めることをおすすめします。