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老後資金の必要額はいくら?個人によって異なる生活費の収支

「老後資金に2000万円必要って本当?」と疑問に思っていませんか。

老後資金問題が世間で大きく取り上げられてから、久しいですが、
「本当の必要額がわからない」と悩んでいる人は多いです。

体感としても、「個人の属性や置かれた環境によって、必要資金は異なる」と理解している人がほとんどでしょう。

今回は、個人の属性別の「本当に必要な老後資金の額」をお伝えします。

下記の状況により、必要な老後資金額は大きく異なります。

・「単身」か「夫婦」
・「男性」か「女性」
・「持ち家」か「賃貸」
・「自営業」か「サラリーマン」

本記事を読んでいただければ、自分の状況と老後資金の必要額算定の考え方がわかります。

必要な老後資金は?「2000万円」の詳細

老後資金2000万円問題は、世間を騒がせましたが、政府が公式に認めることなく、幕を閉じました。

「老後資金2000万円問題」の元をたどると、財務省が出した資料に端を発します。

財務省の資料を要約すると以下のとおりです。

・60歳以上の高齢無職夫婦の収入は平均20万9000円、支出は平均26万4000円
・毎月の収支は5万5000円の赤字で、年間で66万円の赤字
・30年間生きることを考えると66万円×30年=1980万円
・1980万円≒2000万円で、老後資金は2000万円不足する

本件の大きな問題は、詳細が語られず、「2000万円問題」という言葉だけが独り歩きしたことにあります。

上記の数字(収入・支出)は、個人の属性によって大きく異なります。

老後資金の必要額は個人によって異なる

老後資金問題は平均収入を20万9000円、平均支出を26万4000円として算出していました。

老後の収入・支出は個人の属性によって、大きく異なります。

「単身」か「夫婦」

世帯の構成員が「単身」か「夫婦」で、収入・支出が大きく異なります。

「単身」であれば、収入額・支出額とも半額程度になるのは容易に想像できます。

もちろん、2名で利用する住宅費用や公共料金の支出が単純に半額になるわけではないため、個別の算定が必要になるでしょう。

また、収入額は他の要素で、大きく異なってきます。

「男性」か「女性」

現代では、男性より高年収の女性も多くいますが、全年齢の平均では男女の年収に大きな差があり、男性の収入のほうが多くなります。

無職世帯の収入を支えるのは、主に年金収入です。

収入を得ていた時代に支払っていた保険料が多いほど、もらえる年金収入も大きくなることをご存じの方も多いでしょう。

厚生年金を支払っていた「サラリーマン」と、サラリーマンの扶養に入っていた「専業主婦」では、もらえる年金額に倍以上の差があります。

令和元年度に厚生労働省年金局が行った調査では、以下の結果が出ています。

厚生年金加入者(サラリーマン) 平均14万6162円
国民年金のみの加入者(専業主婦) 平均5万6049円

(参考:令和元年度 厚生年金保険・国民年金事業の概要

男性が全員厚生年金に加入し、女性が全員国民年金のみに加入というわけではありませんが、もらえる年金額に大きな差が存在しています。

「自営業」か「サラリーマン」

年金収入を考える上で、「自営業」か「サラリーマン」かも気にしなければなりません。

厚生年金加入のサラリーマンは、平均14万6162円の年金収入があります。

一方、国民年金のみの自営業者は、被扶養者の専業主婦と同じ平均5万6049円の年金収入です。

自営業者である場合は、年金収入が少なくなる可能性が高いです。

しかし、自営業者であれば、定年なく働けたり、収入が増えた年に手厚い保険に入ったりすることも考えられます。

早くから、自営業ならではの対策を練れば、サラリーマン以上に老後収入を増やすことも可能なため、デメリットばかりではありません。

「持ち家」か「賃貸」

「持ち家」と「賃貸」では、支出が大きく異なるので注意が必要です。

近年の老後資金に関する調査では、住居に関する支出は1~2万円程度が平均値となっており、多くの世帯が「持ち家」です。

「賃貸住まい」の場合は、毎月の家賃を支出に計上する必要があり、支出が平均より高くなる傾向があります。

また、高齢者には賃貸しない大家さんもいますので「住居の確保」と「住居費の確保」が課題になります。

まとめ:個人で異なる老後資金

老後資金の必要額について解説してきました。

個人の属性によって「本当に必要な金額」は異なります。

ポイントは以下のとおりです。

・単身の場合、支出が半額程度になる
・男性か女性かで、年金収入が大きく異なる
・サラリーマンか自営業かで、年金収入が大きく異なる
・賃貸の場合、住居費の支出を計上する必要があり

自分の属性に当てはめて考えると、おおよその老後資金必要額がわかるでしょう。