「老後資金がない!」と心配な40代・50代の老後資金の作り方
子どもの教育がひと段落したところで、ふと老後資金が心配になってしまう年代が40代、50代ではないでしょうか。
思った以上に子供の教育資金がかかってしまい、このままだと老後資金なんて貯めることができそうにない…。
この記事では、老後資金がないことに焦る40代、50代の方に対して必要な老後資金額、老後資金が足りないとどうなるのか、今からできる老後資金の作り方を解説します。
目次
老後資金はいくら必要?
老後資金が心配な40代、50代にとって、実際の老後資金がいくら必要なのか、気になるところです。
老後資金は一人当たり3,000万円
老後資金に必要な金額は一人につき3,000万円以上だといわれています。単身者だと約3,000万円、夫婦二人だと約6,000万円以上が必要。
この金額は令和2年に総務省が発表した「家計調査年報(家計収支編)2020年(令和2年)」によって、算出されています。
65歳以上の無職の夫婦のみ世帯で、一カ月当たりの平均支出額は約255,550円となっています。
【65歳以上世帯の一カ月の支出内訳】
支出項目 |
夫婦のみの無職世帯の金額 |
単身の無職世帯の金額 |
食料費 |
6万5,804円 |
3万6,581円 |
住居費 |
1万4,518円 |
1万2,392円 |
光熱費・水道代 |
1万9,845円 |
1万2,957円 |
家具・家事用品代 |
1万0,258円 |
5,328円 |
被服費 |
4,699円 |
3,181円 |
医療費 |
1万6,057円 |
8,246円 |
交通費・通信費 |
2万6,795円 |
1万2,002円 |
教養・娯楽費 |
1万9,658円 |
1万2,910円 |
教育 |
4円 |
0円 |
雑費 |
1万9,351円 |
1万3,180円 |
交際費 |
1万9,826円 |
1万5,253円 |
仕送り金 |
1,384円 |
1,066円 |
税金 |
1万2,589円 |
6,430円 |
社会保険料 |
1万8,551円 |
5,082円 |
支出合計 |
25万5,550円 |
14万4687円 |
出典:総務省「家計調査報告(家計収支篇)2020年(令和2年)平均結果の概要19ページ」
65歳以上の世帯で必要な生活費を基に計算すると、次のような結果になります。
【老後必要と予想される生活費】
世帯 |
1カ月 |
1年間(65歳) |
20年間(85歳) |
30年間(95歳) |
無職独身 |
144,687円 |
1,736,244円 |
34,724,880円 |
52,087,320円 |
無職夫婦 |
255,550円 |
3,066,600円 |
61,332,000円 |
91,998,000円 |
老後必要な生活費を基に試算すると、日本人の平均寿命に最も近い85歳の時点で単身世帯では約3,000万円、夫婦世帯では約6,000万円の老後資金が必要ということになるのです。
老後資金はどれくらい不足する?
実際に老後資金を3,000万円準備するのはかなり大変に思えますね。
老後資金がいくら不足するのかを計算してみましょう。
令和元年に「市場ワーキング・グループ」という金融審議会が取りまとめた報告書の中で、高齢無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上)では毎月約55,000円不足するという計算がされました。
総務省統計局の調査報告(2017年度)による老後の世帯収入(公的年金受給額)を見ていきます。
- 無職夫婦の毎月の収入(公的年金):平均19.2万円
- 無職世帯の毎月の収入(公的年金):平均10.7万円
年金による世帯収入平均額よりも前述した生活費の方が上回っており、平均すると毎月約55,000円の不足となるのです。
毎月約55,000円の不足が30年間(夫95歳、妻90歳)まで続くと、19,800,000円が老後資金として不足することになります。
「老後資金の不足額」
55,000円×12か月×30年間=19,800,000円
約2000万円が老後30年間に不足するとの試算から、「老後2,000万円問題」と呼ばれています。
子どもの教育費や住宅ローン、親の介護などでお金がかかってくる40代、50代にとって2,000万円を貯めるというのは気の遠くなるような話ではないでしょうか。
年代別の貯蓄額は
40歳以上の二人以上の世帯にはいったいどれくらいの貯蓄があるのか、平均額を見ていきます。
【40代以上の平均貯蓄額】
年代 |
平均貯蓄額 |
40歳未満 |
708万円 |
40歳~49歳 |
1,081万円 |
50歳~59歳 |
1,703万円 |
60歳~69歳 |
2,384万円 |
70歳以上 |
2,259万円 |
出典:家計調査報告(貯蓄・負債編)2020年(令和2年)平均結果(二人以上の世帯)
40歳以上の家庭では、平均貯蓄額が1,000万円を超えてきているのが分かります。
60歳以上になると、2,000万円以上の貯蓄額となっており、老後2,000万円問題はクリアできる結果に。
しかし、全体の4割が住宅や土地の為の負債を保有している家庭で、平均負債額は572万円となっています。
そのため、平均貯蓄額から負債額を引くと、2,000万円の資産は保有していないという結論に至るのです。
平均貯蓄額、平均負債額の合計から老後資金に必要な2000万円に不足している金額を算出してみます。
年代 |
平均貯蓄額 |
平均負債額 |
老後資金不足金額 |
40歳未満 |
708万円 |
1,244万円 |
2,536万円 |
40歳~49歳 |
1,081万円 |
1,231万円 |
2,150万円 |
50歳~59歳 |
1,703万円 |
699万円 |
996万円 |
60歳~69歳 |
2,384万円 |
242万円 |
不足なし 142万円プラス |
70歳以上 |
2,259万円 |
86万円 |
不足なし 173万円プラス |
参考:市場ワーキング・グループ」報告書「高齢社会における資産形成・管理16ページ」
上記から40~50代では、老後資金が不足していることが分かります。
では、実際に老後資金が2,000万円に足りないとどうなるのでしょうか。
老後資金が足りないとどうなる?
老後資金に必要な金額が2,000万円とは言いますが、実際の資金が足りないとどうなってしまうのでしょうか。
年金だけが頼りに
自分で老後資金を貯めることができなければ、年金だけが頼りの状況となってしまいます。
しかし、少子高齢化社会である日本では、年金が増えることを期待するのは難しいのが現状といえます。
【平均年金受給額】(日本年金機構令和3年)
厚生年金 | 約22万円/月(夫婦二人分・老齢基礎年金を含む標準的な金額) |
国民年金 | 約6万5,000円/月(老齢基礎年金・満額) |
自分の加入している年金の種類や加入年数、配偶者の有無によって、老後の年金額は変わってきますので、自分がもらえる金額を試算するには年一回送られてくる「ねんきん定期便」を確認するのが最も確実です。
老後も働かなければならない
年金だけでお金が足りなければ、働いて生活費を稼ぐことが必要となります。
ただ、年齢が高くなるにつれ仕事の幅が狭まることや身体の無理が効かなくなることも考えなければなりません。
そのため、無理のない範囲で長く働くことを目指すのが理想といえます。
子どもや国・自治体を頼ることになる
老後資金が足りず、年金で足りない場合は生活が破綻してしまうため、子どもや国に頼って生活することになります。
子どもに仕送りをしてもらったり、どうしても生活が立ち行かなくなったりする場合は生活保護の申請をすることも可能です。
ですが、大事な子どもに苦労を掛けたくないと感じる方がほとんどでしょう。
生活保護を受けた場合でも、ぜいたく品の所有は認められず、ローンを組んだりクレジットカードを所有したりはできなくなってしまいます。
将来の老後資金を少しでも貯めて、自由な生活を送るために40代、50代のうちから老後資金を作っておくのが重要となるのです。
40代・50代からの老後資金の作り方
40代・50代からの老後資金の作り方はいったいどのようにすれば良いのでしょうか。
少しずつ子どもの手が離れるため、家計管理を見直して収入を少しでも上げるようにしていきましょう。具体的には次の4点です。
家計の見直しが必要
現在貯蓄ができていない家庭であれば、収入と支出の見直しを行いましょう。
支出の無駄を省いて、赤字を脱却することで健全な家計管理ができるようになります。
老後の生活資金を不足させないためにも、今のうちから生活レベルを身の丈にあったものにしておくと良いでしょう。
ライフプランニングをする
老後資金がないと嘆くだけでなく、実際に今後いつどれくらいのお金が必要になるのか、ライフプラン表を書いてみましょう。
大きな支出がある時期が予測でき、そのための備えができるようになります。
ライフプランに沿って、貯蓄計画や仕事の計画を立てておくことで、具体的に動けるようになるのです。
仕事をして収入を上げる
家計の見直し、ライフプランに基づいて不足金額、備えが必要な金額が判明したら、仕事をして将来に備えましょう。
40代、50代になると子どもの手も離れていくため、仕事にあてる時間も増やすことが可能になります。
老後資金をためる最後のチャンスである40代、50代のうちに老後につながる仕事を見つけておくとなお良いです。
それが無理でも、今の自分ができる仕事から始めてみましょう。
自治体のサービスを調べておく
40代、50代になると子どもの手が離れる一方で、両親の介護をする方も現れます。
両親の老後資金が足りなかった場合や介護によって離職しないためにも、あらかじめ介護サポートや見守りサービスなど、自治体のサービスを調べておきましょう。
介護は徐々にではなく、ある日突然始まることが多いです。
急にービスを調べようと思っても、間に合わず必要以上のお金を使うことになってしまいます。
まだ先だと思わず、あらかじめ準備をしておくことが自分の老後資金準備につながるのです。
まとめ
老後資金は単身者だと約3,000万円、夫婦二人だと約6,000万円以上が必要だといわれています。
平均貯蓄金額を考慮して計算してみると、40代では2,150万円、50代では996万円老後資金が不足しています。
40代、50代から老後資金を作るために、次の事を始めましょう。
- 家計の見直し
- ライフプランニングをする
- 仕事始める
- 将来に備えた自治体のサービスを調べる