HOMECOLUMN一覧資産運用持ち家なしの一人暮らしは老後資金いくら必要?

持ち家なしの一人暮らしは老後資金いくら必要?

近年、生活スタイルの変化により、老後の過ごし方は多様化しています。そんな状況で、なかには老後の生活に漠然とした不安を感じている方も多いのではないでしょうか?

さらに、マイホームを持っておらずマンション賃貸やアパート賃貸、賃貸住宅にお住まいの場合だと、年金生活と並行して家賃を払い続けなければならず、老後の資金をいくら準備しておけばならないのか気になるところです。

そこで、今回は持ち家のない一人暮らしの方が老後暮らしていくために、高齢者の持ち家の現状、一人暮らしの老後資金の収支状況、持ち家なしの一人暮らしが必要な老後資金の目安といった感じでさまざまな視点から掘り下げていきます。

老後の約2割は持ち家なし

それでは、まず65歳以上の持ち家状況から見ていきましょう。

内閣府が発表している「令和3年(2021年)版高齢社会白書」によると、65歳以上の者のいる主世帯総数のうち82.1%が持ち家があり、6.5%が公営・都市再生機構(UR)・公社の借家、11.1%が民営の借家、0.2%が給与住宅、0.2%が不祥といった内訳になっています。

これにより、約2割の高齢者が持ち家を持っておらず借家に住んでいると言うことが分かります。

この約2割が持ち家以外で住んでいるのはどんな状況なのでしょうか?

10年前に内閣府から公表された「平成23年(2011年)版高齢社会白書」を見てみましょう。

当時、65歳以上の者のいる主世帯総数のうち約9%が持ち家なしでした。

つまり、2011年から2021年の10年間で割合で言うと2倍近く多くなっていることから、年々持ち家を持たず老後を過ごす方も増えていることが分かりますね。

一人暮らしの老後家計状況について

次に65歳以上の家計状況について見ていきましょう。

総務省が発表している「家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)」によると、65歳以上の単身無職世帯の家計収支において、収入は12万3074円ですが、消費支出は13万2476円と収入を超えてるため、収入より支出が毎月9402円多くなっています。

このうち、住居費は消費支出の9.9%で1万3000円ほどとなっています。

持ち家の住宅ローンをすでに完済されている方や、親から持ち家を引き継いで住んでいる方ですでに完済されている方なら住居費の負担はほぼないといった場合が多いと思います。

しかし、賃貸のアパートやマンションに住んでいるのであれば、家賃の支払いは必須。

そのため、住居費は平均の1万3000円以上になる可能性が高く、老後資金が多く必要になるかもしれません。

さらに、同じ賃貸住宅に住んでいたとしても、どのような住宅に住んでいるかで家賃も異なってきます。

地域や民営、公営などさまざまな種類がありますが、安くても3万円、非木造のマンションとなると6万円ほどはどうしても必要でしょう。

公営の借家の中では2万円ほどで借りられる場合もありますが、条件が厳しく入居するにはさまざまなハードルがあります。

持ち家なしの一人暮らしが老後を迎えるまでに用意しておくべき資金

では、持ち家なしの一人暮らしが老後を迎えるまでに用意しておくべき資金はいくらなのでしょうか。

実際、持ち家がないとなると家賃が発生するので、65歳以上の単身無職世帯の住居費は前述した数値以上になるのは間違いないでしょう。

人それぞれ必要な老後資金は異なるのですが、少しでもイメージしやすいよう仮の数値をもとに計算してみましょう。

民間の非木造のマンションに月6万円で住むと仮定します。

前述したとおり、65歳以上の単身無職世帯の住居費は1万3000円ほどなので差額で約4万7000円が毎月必要になります。

さらに毎月9400円ほどの支出が収入に比べて多いので、これと合わせると4万7000円+9400円=5万6400円ほどが毎月の支出と予想できます。

そして、65歳から平均寿命の85歳までの20年生きると仮定した場合、5万6400円×12ヶ月×20年=約1360万円が必要となります。

さらに、これに医療費や介護費の負担が発生することを予想すると、あくまで平均から計算した数値にはなりますが、約2000万円は準備しておくと良さそうですね。

年々増え続ける老後の一人暮らしに向けて

今回は、持ち家なしの一人暮らしの老後資金事情について見てきましたがいかがだったでしょうか。

年々、65歳以上の1人暮らしは増加傾向にあります。

内閣府が発表している「令和3年版高齢社会白書」によると、2020年では約700万人ですが、今後の推計では2030年に約800万人、2040年に約900万人増加することが予想されています。

一人暮らしの65歳以上の高齢者が、新たに賃貸住宅を借りようとする場合、保証人や孤独死などのさまざまなリスク回避のため、民間の業者では契約が難しかったり、保証人なしで入居できる、都市再生機構(UR)も一定の収入や貯蓄がないと申し込むことができなかったり何かと不便なことが多くなります。

老後に最低限の生活を送るためにはある程度の資金が必要になります。

今回紹介した例はあくまで平均から算出したものになります。

今後増えていくことが予想される一人暮らしの高齢者。

他人事だとは思わず、今回の記事をぜひ参考にしてあなたの老後に必要な資金を算出してみてください。