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独身者の老後資金は3000万円も必要?

最近では人生100年時代と言われているほど平均寿命が上がり続けています。厚生労働省が発表している「令和3年簡易生命表の概要」によると、2021年の平均寿命は男性で81.47歳、女性は87.57歳。10年前の2011年の平均寿命は男性が79.44歳、女性が85.90歳ということから年々平均寿命は上昇していることがわかります。

このような時代に将来的に老後資金がいくら必要なのか不安を覚える方も少なくないでしょう。一般的に夫婦の老後資金で必要な額は3000万円と言われています。では、独身の場合では老後資金として3000万円も必要なのでしょうか?それとも夫婦と独身という違いから、半分の1500万円なのでしょうか?

今回は、老後を迎えた独身者の平均収入と支出のバランス、貯蓄額の平均値と中央値から独身者に必要な老後資金を求めていきます。

独身者に必要な老後資金の平均値

 

まず独身者の老後資金のイメージがしやすいように、平均値を見てみましょう。

総務省から発表されている「家計調査年報(家計収支編)2020年(令和2年)」によると、65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の家計収支では、年金を含めた実収入のうち年金などを含めた社会保険給付の月平均が12万1942円です。

一方で、税金や保険などの非消費支出と食糧や光熱・水道費などの消費支出の合計は月平均が14万4687円で、差額は2万2745円の赤字になります。

前述した平均寿命の男性で81.47歳、女性は87.57歳の間をとった85歳までの20年間生きると仮定すると、2万2745円×12ヶ月×20年で545万8800円の赤字です。赤字分が、収入と消費のバランスを保つために必要な老後資金の平均値ということになりますね。

独身者の平均貯蓄額

独身者の老後資金として最低限必要となる平均値がわかりましたが、現在の老後の貯蓄事情はどうなっているのでしょうか?

金融広報中央委員会が公表している「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和3年)」によると、金融資産を保有していない世帯を含む70歳以上の金融資産保有額は平均値で1,786万円で中央値は800万円です。

平均値と中央値で1,200万円ほどの差がある理由は、平均値では超富裕層など一部の極端に貯蓄がある人によって数値が大きくなりやすい性質があることが考えられます。そのため、より現実的に見るのであれば中央値である800万円が実際の貯蓄事情に近いと言えるでしょう。

独身者の老後資金は3000万円も必要ない?

独身者の老後生活に最低限必要な資金の平均値である545万8800円に対して、実際の金融資産を保有していない世帯を含む70歳以上の金融資産保有額が、平均値で1,786万円で中央値が800万円という結果を見ると、本来準備するべき老後資金は3000万円よりもかなり少なく済むことになります。

しかし、「なんだそんな準備しなくても大丈夫なんだ。」と安心してはいけません。前述した数値はあくまで平均値や中央値であってあなたに必要な老後資金の額ではありません。必要な老後資金は人それぞれ違うのが当たり前なので人によっては平均値や中央値から大きく外れる可能性も十分あり得ます。

例えば収入の面だと、年金だと支払っていない期間があったり、支払っている金額が少なかったりすると減額の可能性も十分あります。それに、今後支給額も大幅に減る可能性もあります。支出の面でも、持ち家がなく賃貸で家賃を払っている場合だと少なくとも月5万円以上かかったり、食費が多かったり、急遽予想だにしない医療費や介護費が必要になったりすることが十分にあり得ます。

独身者が確保しておきたい老後資金

老後生活では突如お金が必要になるケースも珍しくありません。例えば、医療費。現在の自己負担学は70歳未満は3割負担、70歳以上75歳未満は原則として2割負担(現役並み所得者は3割負担)、75歳以上は原則として1割負担となっています。

全額が保証してもらえる訳ではないため、医療機関を利用する際は少なからず支出が増えることになります。他には介護費。独身者の場合、自分ひとりで身の回りの世話をしなくてはいけません。しかし、年を重ねるにつれ身体の自由が利かなくなり介護が必要になれば、介護をしてもらわないと生きていけません。

独身者であれば配偶者や子供がおらず頼ることができるのは介護士だけという状況になることも珍しくありません。こういった場合だと介護費が必要になるためその分支出も多くなります。

独身者はイレギュラーな事態に備えて資産形成しよう

今回は独身者の老後資金についてお伝えしてきました。必要となる老後資金は平均値で約546万円ですが、高齢になればなるほど医療費や介護費などの出費が増える可能性が高くなります。

現在の高齢者の貯蓄額の平均値が1,786万円で中央値が800万円という結果から、普通に生活していれば大丈夫と安心してはいけません。必要な老後資金は人それぞれなので自分がいったいいくらあれば安心なのか、いくらあればイレギュラーな事態が起きても対応できるかを加味して資産形成していきましょう。