独身女性の老後資金はいくら必要?
高齢化が進む日本では、独身で老後を迎える女性も珍しくなくなってきました。令和元年に話題になった「老後2000万円問題」で将来への不安が高まったこともあり、最近では、老後資金の準備を早くから始める独身女性も多くなってきています。
そこでこの記事では、「独身で定年を迎える女性が必要になる老後資金はいくらなの?」といった疑問について詳しくお伝えしていきます。将来の生活に不安を感じている方はぜひご参考ください。
独身女性の老後資金はいくら必要?
厚生労働省「令和3年簡易生命表の概況」で発表されている女性の平均寿命は87.57歳です。65歳以上を老後と考えると、約22年が老後の生活と考えられます。
以下では、老後を迎えた独身女性が寿命までの22年間で必要な老後資金について詳しくお伝えしていきます。
独身女性の老後の平均支出
総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2021年(令和3年)平均結果の概要」によると、老後を迎えた65歳以上単身無職の女性の1ヶ月の平均支出は14万4,747円です。内訳は以下のようになります。
消費支出 | 食料費 | 3万6,322円 |
住居費 | 1万3,090円 | |
光熱・水道費 | 1万2,610円 | |
家具・家事用品費 | 5,077円 | |
被服及び履物費 | 2,940円 | |
保険医療費 | 8,429円 | |
交通・通信費 | 1万2,213円 | |
教養娯楽費 | 1万2,609円 | |
その他の消費支出 | 2万9,185円 | |
諸雑費 | 1万3,369円 | |
交際費 | 1万5,394円 |
|
仕送金 |
387円 | |
非消費支出 | 直接税 | 6,056円 |
社会保険料 | 6,158円 |
また、寿命まで22年分の支出額を計算すると以下のようになります。
老後22年間の平均支出額:14万4,747円×12ヶ月×22年=3,821万3,208円
これらの数字はあくまで平均値のため、人によって変わります。とくに大きく関わってくるのは住居費です。
すでに一軒家やマンションを購入しローンを完済していれば、最小限に抑えられます。しかし、老後に賃貸に住む予定であれば住居費は平均値よりも3〜5万円はかかると想定しておく必要があります。
独身女性の老後の平均収入
総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2021年(令和3年)平均結果の概要」によると、老後を迎えた65歳以上単身無職の1ヶ月の平均収入は13万5,345円です。内訳は以下のようになります。
社会保障給付 | 12万470円 |
その他 | 1万4,875円 |
老後の主な収入は社会保障給付で、その大半を占めるのが年金です。
年金で受給できる金額は人によって変わってきます。例えば、厚生年金と国民年金のどちらに加入しているかで受給できる金額が違います。
「令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概要」によると、65歳以上の女性が受給している厚生年金の月額は平均10万9,205円です。一方で、国民年金の平均受給額は令和2年度新規裁定者で平均5万4,410円です。前者と後者では5万以上の差があることがわかります。
また、老後22年分で受給できる金額を計算すると以下になります。
厚生年金の平均受給額:10万9,205円×12ヶ月×22年=2,883万120円
国民年金の平均受給額:5万4,410円×12ヶ月×22年=1,436万4,240円
会社勤めか自営業かによって受給できる年金は大きく変わってきます。自分がどれくらいの収入を得られるか把握しておくことは非常に大切です。
必要な老後資金
前述した内容の収入と支出の差額を、独身女性に必要な老後資金として計算すると以下のようになります。
収入(厚生年金)と支出の差額:2,883万120円-3,821万3,208円=-938万3,088円
収入(国民年金)と支出の差額:1,436万4,240円-3,821万3,208円=-2,384万8,968円
厚生年金と国民年金の平均額では、いずれにしても900万〜2000万円以上の老後資金が必要と考えられます。急に必要となる可能性が高い医療費や介護費なども考慮すると、3,000万ほどないと安心できない方もいるでしょう。
まとめ
この記事では、「独身で定年を迎える女性が必要になる老後資金はいくらなの?」といった疑問について詳しくお伝えしてきました。
高齢化が進む中、最近では独身で老後を迎える女性は珍しくありません。パートナーがいないことで、強い不安を感じる方も少なくないと思います。
将来について考えることは難しいですが、まずは自分の支出と収入を把握することから始めてみましょう。そうすることで、自分に必要な老後資金が見えてきます。
老後資金の準備は、収支バランスを見直したり、iDeCoやつみたてNISAなどの非課税で資産運用ができる制度を利用したりとできることは多くあります。自分に合った方法を見つけてみてください。
とは言っても、「どのように動けばいいかわからない」といった方も多いと思います。そのような方は、専門家に相談してみるのも一つの手です。最近では、無料で老後資金について相談できるセミナーもよく開催されているので、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。