【令和版】老後資金の積み立て方法|NISAやiDeCoの特徴も解説
老後資金に不安を持つ人が増えています。
現在の日本では、受けとる退職金や年金が減少傾向にあり、低金利の時代はこれからも続くと予想されています。
つい最近も「老後2000万円問題」が世間を騒がせたことは記憶に新しいです。
「今から老後資金を積み立てておかないといけない」
と感じた人も多いのではないでしょうか?
しかし、老後資金の積み立てと言っても。下記のような疑問や不安が出てきませんか?
「老後資金の積み立ては、預貯金だけじゃダメ?」
「老後資金の積み立ては、どのような方法があるの?」
「老後資金を投資で積み立てるのはアリ?」
そんな方に向けてこの記事では、
・老後資金の積み立てを預貯金だけでやるのは損
・預貯金と投資の違い
・定期預金の金利の推移
・福利効果がある投資をしている人が急増している
・NISAやiDeCoの特徴
について、解説します。
老後資金を積み立てたいと考えている方は、ぜひご参考ください。
目次
老後資金の積み立て「預貯金だけ」は損!?
「老後資金の積み立て」というと「預貯金」を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか?
確かに今までは年金と退職金に加えて、預貯金で老後資金を準備するのが一般的でした。
しかし、これからは「預貯金だけ」では損をする可能性があります。
理由は下記の2つです。
・インフレーションによる目減りのリスク
・金利の低さによる機会損失のリスク
下記の2つを解説しつつ「預貯金だけ」では損する理由についてお伝えします。
・預貯金と投資の違い
・定期預金の金利は減少し続けている
預貯金と投資の違い
「お金を使ってお金を増やすこと」を資産運用と言います。資産運用は「貯蓄」と「投資」の2つに大きく分けられます。
銀行にお金を預ける預貯金は「貯蓄」に分類されます。
元本が保証されているため、比較的リスクが低い資産運用の方法です。
預け先の銀行が倒産した場合は「預金保険制度(ペイオフ)」によって、預金者1人当たり1000万円と、1000万円に対する利息までは保護されます。
預貯金はいつでも引き出せるので、流動性が高いのも投資との大きな違いです。
投資は、持っているお金を増やすことを目的として、株式や投資信託などの金融商品を購入することです。
貯蓄とは違い、元本割れのリスクがありますが、大きな利益も見込めます。
また、お金として使うには、売却するなど一定の手続きが必要なため、預貯金に比べて流動性は低くなっています。
老後資金の積み立てにおいて、預貯金と投資の大きな違いはインフレーション(※1)に対するリスクです。
※1…インフレーションとは、モノやサービスの価格がすこしずつ上昇していく現象のこと |
モノやサービスの価格が上がることは、相対的にお金の価値が下がることでもあります。預貯金として銀行に預けているお金は、インフレーションが進むと実質的に減少してしまうのです。
通常、現金以外の資産はインフレーションとともに価値が上がるものです。
すぐに使う予定のない資金を投資というかたちで持つことで、インフレーションによる目減りを防げます。
定期預金の金利は減少し続けている
バブル崩壊以降、低金利の時代が続いている日本ですが、ここ10年の金利を見てみましょう。
例として、下記の銀行の定期預金(5年)の金利の推移をお伝えします。
・みずほ銀行
・三菱UFJ銀行
・ゆうちょ銀行
みずほ銀行の定期預金(5年)の金利は、
2012年9月時点で0.04%でした。
2013年6月から0.06%の時期がしばらく続きましたが、
2015年10月に再び0.04%に戻り、
2016年4月には0.01%まで下がります。
2020年5月には0.01%も下回り、
2022年11月時点の金利は0.002%です。
三菱UFJ銀行の定期預金(5年)の金利は、
2012年9月時点で0.04%でした。
しばらく0.04%の期間が続くも、
2016年4月に0.01%まで下がります。
2020年5月には0.01%も下回り、
2022年11月時点の金利は0.002%です。
ゆうちょ銀行の定期預金(5年)の金利は、
2011年9月時点で0.06%でした。
2016年3月に0.01%に下がり、
2020年4月は0.002%に下がります。
2022年11月時点での金利は0.002%です。
金利の低い状況が続いているため、預貯金による資産の増加は見込めません。
投資に回せるお金を預貯金として持ち続けることで、投資で得られるはずだった利益を逃している可能性があります。
このことから、老後資金の積み立ては「預貯金だけ」では損をしていると言えるのです。
複利効果がある投資を始める人が急増
近年、投資を始める人が急増しています。
金融庁が出している統計データ「NISA・ジュニアNISA利用状況調査」からNISA口座の開設数を見てみましょう。
2016年1月にNISA制度が開始された時点で口座数は約475万口座ありました。
制度開始後の2016.3月末には約650万口座まで増加し、つみたてNISAの制度開始直前の2017.12月末には約987万口座にまで増加しています。
つみたてNISAが始まった直後の2018年3月末で約1,012万あった口座数はそのまま増加を続け、2022年6月末での口座開設数は約1,703口座となっています。
2016年度の制度開始時点で約475万あった口座数は、2022年6月末で約1703口座にまで増加。
8年間で約4倍の数にまで急増したことになります。
一般・つみたてNISAともに福利効果(※2)がある投資です。
※2…複利とは「投資したお金+利子」にさらに利子がつくこと。 複利効果がある投資を長期的に運用することで、より大きな利益を期待できます。また、価格変動のリスクも軽減できます。 |
【参考記事】
・金融庁|NISA口座の利用状況等について
・金融庁|NISA・ジュニアNISA口座の開設・利用状況調査(平成 28 年3月末時点)
投資の初心者には、下記のような福利効果のある投資がおすすめです。
・NISA
・IDECO
NISAの特徴
NISAは「少額投資非課税制度」の愛称で、特徴は運用によって得た利益の一定額までが非課税になることです。
現在、一般NISAとつみたてNISA、ジュニアNISAの3種類があります。
初心者には、つみたてNISAがおすすめです。
非課税期間が長く、毎月少しずつ積み立てられます。
つみたてNISAは年間で40万円まで投資可能で、非課税期間は20年です。
投資対象の銘柄は限定されているものの、金融庁が定めた条件を満たした「長期・分散投資に適した銘柄」です。
初心者にとっては比較的安心して取り組めるものといえます。
また、一般NISAとつみたてNISAの併用はできないので、注意が必要です。
2020年度の制度改正により、2024年からは「新しいNISA」と「つみたてNISA」の2種類になります。
また、まとまったお金が必要になったときは、いつでも売却してお金に換えることができます。
後述するiDeCoに比べると流動性が高いのも特徴です。
iDeCoの特徴
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、自分で拠出したお金を自分で運用する私的年金制度です。
専用の口座を開設し、毎月一定額を積み立て、60歳以降に受け取れます。
NISAよりも手厚い税制上の優遇があるのが大きな特徴です。
受けられる優遇措置は下記の3つです。
・掛け金の全額が所得控除の対象になる
・運用で得た利益がすべて非課税になる
・受け取るお金も所得控除の対象になる
NISAに比べると流動性が低く、60歳以降にしか受け取れないので注意が必要です。
まとめ|老後資金の積み立ては複利の効果を利用しよう
最後に、この記事の内容をまとめます。
〇老後資金の積み立ては「預貯金」だけだと損をする
・インフレーションによる目減りのリスク
・低金利による機会損失のリスク
〇福利効果のある投資を始める人が急増している
→NISA総合口座の口座数は過去10年で10倍近い数字に
〇NISAの特徴は運用益が非課税になる
〇iDeCoの特徴は税制上の優遇措置が受けられる
・掛け金が全額所得控除になる
・運用で得た利益がすべて非課税になる
・受け取るお金も所得控除の対象になる
世界的なインフレーションの傾向や、日本における低金利の時代は続くことが予想されます。
老後資金の積み立てを「預貯金だけ」で行うと損をする可能性が高いのです。
老後資金の積み立てには、福利効果のある投資がおすすめです。
投資による積み立ては、早くはじめるほど時間を味方につけられます。
投資の初心者は、福利効果があって税制上の優遇措置もあるNISAやiDeCoからはじめてみましょう。