夫婦世帯が必要となる老後資金の平均はいくら?
「老後は夫婦でのんびり暮らしたいけど、老後資金はいくら用意しておけば安心なんだろう?」このようなお悩みはありませんか?
年々独身者の割合が増え続けている現在ですが、夫婦で老後生活を送る世帯はまだまだ多いです。国立社会保証・人口問題研究所から発表されている「人口問題研究所(2022年版)」の「世帯主人の性、年齢(5階級),家族類型別一般世帯数:2020年」によると、老後の基準年齢となる65歳以上の世帯総数が20,273世帯に対し、夫婦で暮らしている世帯数は9,688世帯です。老後を迎えた世帯の内2分の1は夫婦で暮らしていることがわかりますね。
今回は、夫婦で暮らしていく上で不安要素となる、老後に必要な資金がいったいいくらなのか、効率的に老後資金を準備していくための方法についてご紹介していきます。
夫婦世帯が必要となる老後資金の平均はいくら?
総務省から発表されている「家計調査年報(家計収支編)2020年」によると、65歳以上の夫婦のみ無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の消費支出の月平均は、22万4,390円です。内訳では食料費が最も大きく、29.3%の6万5,904円で、他にも住居費が6.5%の1万4,585円、光熱・水道費が8.8%の1万9,746円などがかかっています。
税金や社会消費支出が含まれる非消費支出は月平均で3万1,160円のため、トータルの支出は月平均で22万4,390円+3万1,160円=25万5,550円ということになります。
一方で、実収入は月平均25万6,660円で、年金などが含まれた社会保障給付が85.7%の21万9,976円を占めます。実収入の月平均からトータルの支出の月平均を引くと、月平均で1,111円の黒字です。
厚生労働省が発表している「令和3年簡易生命表の概要」によると、2021年の平均寿命は男性で81.47歳で女性は87.57歳のため、間をとった85歳までの20年間が余命と仮定すると、1,111円×12ヶ月×20年=26万6,640円が資金として必要になるのではなく、逆に余るという結果になりました。
夫婦の老後には資金を準備する必要はない?
65歳以上の夫婦のみ無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の収入と支出の月平均では収入が1,111円上回っていることから、「老後資金の準備はいらないんじゃないかな。」と考える方は多いのではないでしょうか。
しかし、この数字はあくまで平均値のため、人それぞれで収入も支出も違います。例えば、老後の主な収入源である年金。「令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概要」によると、令和2年度末の時点で国民年金に加入している人の受給額の平均は月額5万6,358円、老齢厚生年金に加入している人の受給額の平均は月額14万6,145円です。合わせると、1ヶ月当たり20万2,503円です。
前述した社会保障給付の平均値と近い金額ですが、受給額は老齢厚生年金が大半を占めます。そのため、加入年数が少なかったり、支払っていた金額が低かったり、自営業で国民年金分しかもらっていなかったりすると、平均値を大きく下回る支給額の方もいます。
収入面だけでなく支出面でも人によって大きく変わります。例えば住居費。前述した65歳以上の夫婦のみ無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の消費支出の月平均は22万4,390円で、内訳の住居費が6.5%の1万4,585円でした。しかし、賃貸に住んでいる世帯は最低でも月3万円以上かかるので消費支出もその分増えます。
他にも医療費や介護費は年齢を重ねるにつれ必要になる可能性が高くなります。医療機関を利用する際、現在の自己負担学は70歳未満は3割負担、70歳以上75歳未満は原則として2割負担(現役並み所得者は3割負担)、75歳以上は原則として1割負担となっていますが、少なからずお金を支払う必要があります。
これらのように、老後の収入と支出のバランスは人によって違うので全く準備しなくていいという訳ではありません。
老後資金を効率良く準備する方法
夫婦で平均値に近い生活を送りつつ急な支出にも対応できるようにしておく場合、老後資金の準備は必須です。
最も一般的な方法は銀行などの金融機関にお金を預けておく「預貯金」ですが、もっと効率良く老後資金を準備するには「つみたてNISA」や「iDeCo」、「財形貯蓄制度」から取り組むのがおすすめです。
いずれも条件は異なりますが、非課税になるため、通常よりも資金形成がしやすくなります。夫婦の老後資金の平均値だけで見ると収入面が上回っていることから、老後資金は必要ないように思ってしまいますが、収入と支出のバランスは人それぞれです。
2019年に話題になった「老後資金2000万円問題」で不安になった方も多いでしょう。医療費や介護費などの緊急時に必要になる老後資金を確保しておくことで、少しでも安心して夫婦で老後生活を迎えましょう。