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70歳からの必要な老後資金はいくら?

「70歳から必要になる老後資金っていくらなんだろう?」このようなお悩みはありませんか?最近では人生100年時代と言われているほど平均寿命が上がり続けています。

厚生労働省が発表している「令和3年簡易生命表の概要」によると、2021年の平均寿命は男性で81.47歳、女性は87.57歳。10年前の2011年の平均寿命は男性が79.44歳、女性が85.90歳ということから年々上昇していることがわかります。

このような時代にどのようにして対策をしていけばいいのでしょうか。老後資金を準備すると言っても必要な金額は人それぞれ。夫婦なのか、独身なのか、持ち家はあるのかないのか、現在の収入と支出のバランスなどは人によって全然違いますからね。

そこで今回は、70歳からの老後資金はいくら必要なのかを平均値、中央値からイメージしていきます。

70歳から必要な老後資金の平均値

より具体的にイメージしやすいよう、まずは70歳から必要な老後資金の平均値を出してみましょう。

高齢無職世帯夫婦2人暮らしで、前述した平均寿命である男性81.47歳と女性87.57歳の中間になる85歳までの15年間分といった条件に当てはめて、必要な老後資金を計算します。

総務省の家計調査によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支では、年金を含めた実収入のうち年金などを含めた社会保険給付の月平均が21万9976円で、税金や保険などの非消費支出と食糧や光熱・水道費などの消費支出の合計は月平均が25万5550円となっています。

そのため、差額は3万5,574円の赤字になります。15年分の赤字となる金額を必要な老後資金の平均値とすると、3万5,574円×12ヶ月×15年=640万3,320円です。

70歳以上の貯蓄事情

70歳から平均寿命として仮定した85歳までの15年間で必要となる老後資金の平均値がわかりましたが、実際に70歳以上の貯蓄事情はどうなっているのでしょうか?

金融広報中央委員会が公表している「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]令和3年調査結果」によると、金融資産を保有していない世帯を含む70歳以上の金融資産保有額は平均値で2,209万円で中央値は1,000万円です。

平均値と中央値で1,200万円ほどの差がある理由は、平均値では超富裕層など一部の極端に貯蓄がある人によって数値が大きくなりやすい性質があることが考えられます。そのため、より現実的に見るのであれば中央値である1,000万円が実際の70歳以上の貯蓄事情に近いと言えるでしょう。

高齢者世帯の貯蓄分布

前述した結果より、70歳以上で必要になる老後資金の平均値が約640万円で、70歳以上の貯蓄額の平均値が2,209万円、中央値が1,000万円ということがわかりました。

この結果を見ると、老後資産として必要とされる640万円よりも、実際の貯蓄額は大幅に多いことから、安心している方は多いのではないでしょうか。

実情をより深く知るために、高齢者世帯の貯蓄分布を見てみましょう。総務省統計局が発表している「家計調査年報(令和元年)」によると、世帯主が60歳以上の世帯の貯蓄現在高分布のうち最も割合の多かった貯蓄額が4000万円以上の17.3%でしたが、次に続くのは3000~4000万円と100万円以下の8.5%でした。

この結果により、年金生活で貯蓄を切り崩しながらの生活でも余裕を持って暮らせる世帯が多い一方で、全く老後生活の貯蓄に余裕のない世帯も数多く存在することがわかります。

70歳以上で必要になる老後資金は人それぞれ

今回は70歳以上で必要になる老後資金とその実情について老後資金の平均値、貯蓄の平均値と中央値、貯蓄分布を参考にしながらお伝えしてきました。

70歳以上で必要になる老後資金の平均値である約640万円はあくまで平均値です。70歳以上の金融資産保有額が平均値で2,209万円で中央値が1,000万円という結果により、必要となる老後資金の平均値である約640万円よりも多いことから一見安心してしまうかもしれません。

しかし、貯蓄額が4000万円以上あるような世帯が多い一方、100万円以下の余裕のない世帯が存在するのも事実で、厳しい老後資金への格差が浮き彫りになっています。それに、持ち家のない方や予期しない入院費、治療費、介護費などが高齢になればその分上乗せで老後資金が必要になる可能性もあります。

現在の年齢によって資産形成に向けてできる準備は違います。定年退職が目前であればできることは限られてきますが、30代や40代、50代であれば10年以上も準備できる期間が残っています。

預貯金だけでなく、つみたてNISAやiDeCoなどの非課税で効率良く資産を増やすことのできる運用方法も今はあるので、70歳以上になったとき安心して生活できるよう検討してみてはいかがでしょうか。